アメリカ+フランスという
意外な取り合わせのワケは?
米GM(General Motors)はニューヨーク市街で2012年2月29日、仏PSA(プジョー・シトロエン)との提携を発表し、両社のCEOが会見した。
提携の柱は大きく二つ。ひとつは、2016年に共通プラットフォーム(車体)を活用する等、2社が製造する自動車モデルの部品共通性をもたせること。もうひとつは、購買や物流などを欧州内で共同で行うことだ。
また、この会見の2日前、伊フィアット社のセルジオ・マルキオンネCEOが記者団に対して、同社の提携先の候補としてスズキとマツダの名前を挙げたことが報道された。
こうした欧米発の情報を受け、日本のマスコミは「世界での自動車業界再編が加速しそうだ」と書く。その理由として、欧州経済危機を挙げる。だが、世界全体を見据えて、世界自動車産業界の変革の今後を精査するような記事は見当たらない。
そこで本稿では、最近動きが活発化してきた世界自動車業界再編の軸足は「実はアメリカにある」という視点から、今後の同業界の動きを予測してみたい。
EUとNAFTAとの新たな結びつき
パラダイムシフト第二幕が進行中
欧州自動車工業会によると、2010年の世界自動車総生産台数は、5847万8810台だ。
それを地域別で見ると、新興国であるBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)が35.5%で最も多く、次いでEUの25.8%、日本14.2%、NAFTA(北米経済圏/アメリカ・カナダ・メキシコ)8.7%、韓国6.6%、その他のアジア3.5%、その他の欧州1.2%、その他が3.9%だ。
こうした各地域の現地を定常的に取材している筆者は、各地域の自動車産業は今後、次のように動くと思う。