医薬の臨床データ不正を防ぐ新法施行に早くも「抜け穴」の懸念

 神戸製鋼所や東レ、日産自動車、スバルなど、日本を代表する大手メーカーで品質や試験データの改ざんが行われ、森友問題での財務省の公文書改ざんまでが明らかになった。「日本」に対する信用が根底から揺らぎそうな様相だが、人の命に直接、関わる医療や医薬品業界でも、2013年3月に、ノバルティスファーマ社の高血圧治療薬ディオバンのデータ改ざん・捏造が発覚して、大きな話題になった。

 その教訓から医薬品の臨床研究を規制する「臨床研究法」が4月から施行されるが、いくつかの「抜け穴」が早くも懸念される。

相次ぐデータ改ざんの背景
近視眼性と蛸壺的体質が共通

 ノバルティス事件では、製薬会社・ノバルティスの都合のいいように、京都府立医科大や東京慈恵会医科大での臨床研究のデータが操作されていたことが発覚した。

 ほかにも研究を担当した教授等の論文に実験画像の捏造など多数の不正があったこと、ノバルティスの社員が社員であることを隠して、統計解析スタッフとして参加していたことが明らかになった。