さらに言えば寄附講座のような形で、針灸、温熱療法、ハーブ療法、食事療法、アロマセラピーなど、必ずしも医薬品としての承認を目指しているわけでもない、「補完代替医療」の臨床研究を行っている場合も、法的規制から外れる可能性がある。

「補完代替医療」を取り入れることは、いろんな方法を試してみたいという患者の個別のニーズに応えていると見ることもでき、現在でも金沢大や阪大、徳島大など、いくつかの大学で行われている。

 だが一方で、大学病院の権威を使って、効果の不確かなものを患者に売りつけることに加担することになる恐れがある。

 国から認定された研究機関でもある大学病院が、そうした医薬品なのか、単なる健康商品なのかさえ曖昧なものを扱う領域に手を出していいのか、何らかのガイドラインが必要ではないか。

 こうした疑問はかねてから提起されているが、厚労省は本格的にこの問題に手を付けてない。

監視の審査会、機能するか
委員を身内で固める懸念

「特定臨床研究」では、監視体制についても問題がある。

「特定臨床研究」を監視する「認定臨床研究審査委員会」がきちんと機能するのか、あてにならない心配がある。

 審査委員会は厚労省が「認定」することになっているが、設置主体は臨床研究を行っている大学医学部などの研究機関であり、委員もそこが任命する。

 この委員にはどういう人が選ばれるのか。大学医学部などの都合のいい人選が行われる恐れはないのか。

 たまたま私自身も、この問題を考えさせられる経験をした。

 私の勤務する金沢大学には、認定臨床研究審査委員会の他に、一般の臨床研究を扱う医学倫理審査委員会がある。委員会のメンバーの専門分野や所属部局、運営の仕方などは、臨床研究審査委員会とほぼ同じだ。

 最近、私は法学系の責任者から、医学倫理審査委員会の委員を引き受けてくれないかと打診を受けたので、承諾した。

 ところがその直後、医薬保健研究域の責任者や事務部は私が委員になることを拒んだので、推薦を見送りたいとの連絡を受けたのだ。