臨床研究や論文の不正問題が相次いだノバルティス ファーマ。日本人が活躍する外資と評されてきた同社から、日本人経営陣が一気に姿を消した。(ダイヤモンド社新規媒体開発チーム 山本猛嗣)
Photo:kyodonews/amanaimages
「あれほど輝いていた会社が見る影もない」──。スイスの大手外資系製薬会社の日本法人、ノバルティス ファーマのあるOBは、悔しそうに唇をかんだ。
ノバルティス ファーマは4月上旬、自社の白血病治療薬「タシグナ」の臨床研究に社員が深く関与していた問題で、スイス本社が日本法人の経営陣を刷新し、関与したMR(医薬情報担当者)などの社員、数人を解雇した。
二之宮義泰社長ら日本人役員の3人が辞任し、スイス本社が任命した外国人経営者に刷新された。経営陣は取締役7人中5人が外国人となった。
ノバルティスの日本法人は、初代社長を除けば日本人が歴代、社長を務めてきた。有力な新薬にも恵まれ、業績を順調に伸ばし、日本国内では売上高7位(2012年度)にまで成長した。
本国による圧倒的支配が多い外資系企業の中でも、「日本人社員が中心となって活躍し、成長している会社」として、新卒採用や中途採用の就職希望者の人気も高かった。現場で働くMRや開発部門の担当者らも「知識や経験が豊富で、優秀な人物が多かった」と語る医療関係者は多い。
それが現在では「各職場は意気消沈し、ひそかに転職先を探す社員が増えている」(ノバルティス関係者)という状況に陥っている。
なぜ、こんな事態になってしまったのか。