「就寝時刻」は変えていい

 しばらくアドバイスを続けたアスリートに睡眠時間をたずねると、ためらいなくこんな答えが返ってくる。

「昨晩は5サイクルです」

『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』では、「眠れない」「眠りが途切れる」といった悩みから、「毎日のパフォーマンスをもっと上げたい」という希望まで、さまざまなニーズに応えるメソッドを紹介している。

 これを毎日続けて1週間に35サイクル(5サイクル×7日)取れたら、申し分ない。完璧だ。

 しかし、たいていそうはいかない。サッカー選手にはナイトゲームがある。私たちだって、帰宅する電車が遅れたり、遅い時間の会食があったり、読書が止まらなくなったり、旧友から電話がかかってきたり、なにかしら用事が入るものだ。

 だから、ベッドに入る時間を心配せずに、生活を楽しみ、仕事をがんばるために、睡眠の調整にも柔軟性を持たせよう。就寝時刻は決めないでいい。起床時刻は毎日そろえるが、ベッドに入る時刻は90分単位で考える。ただし、「理想の就寝時刻」より前に眠ってはいけない。前にも書いたように、失われた睡眠は後から補えるわけではないからだ。

 帰宅が少し遅くなり、午前7時半起床からさかのぼって5サイクルの午前0時に睡眠状態に入れない場合は、午前1時半に眠ればいい。つまり4サイクルの6時間睡眠だ。

 もっと遅くなったときは午前3時に入眠を目指すことになるが、これでは3サイクルと少ないので、自分に無理をさせていることを自覚しよう。

 このように、あなたも、私が指導を行っている男女のアスリートと同じように睡眠を「サイクル」でとらえてみよう。

 アスリートたちは「90分をワンセット」という考え方が大好きだ。測定しやすく、達成しやすいからだ。

 とりわけサッカー選手たちは、試合時間と同じなので気に入っている。彼らは、試合やイベントなどで遅くなるとき、自分でサイクル数を調整できると知っている。睡眠に振り回されることなく、自分の回復を自分でコントロールしているのだ。