最低でも「出社の90分前」には起きる

 自分が起きるべき最も早い時刻を見つけたら、それを起床時刻に設定する。理想的には、起床時刻は、職場や大学に到着する時刻の最低90分前には設定したい。目覚めた後の準備の時間を十分に取るためだ。

 おそらく初めは、起きるためにアラームを使うことになる。しかし、そのうち身体と心が、この時刻に起きることに慣れてくる。ほどなく、アラームよりも先に目を覚まし、鳴る前に止めるようになるだろう。

 起床時刻が決まれば、そこから90分刻みでさかのぼり、就寝時刻を設定する。平均的な人は、やはり8時間程度に狙いを定めることになる。本書の方法では、一晩に5サイクル(7時間半)をターゲットにするということになる。午前7時半を起床時刻に設定するなら、午前0時に就寝だ(著者のメソッドでは、毎日「何時間眠るか」ではなく、90分を1サイクルとするサイクルを何回取るかと考えることが基本になる。詳細は本書を参照)。

 きちんとサイクルを取るためには就寝時刻の15分ほど前(もしくは、あなたが眠りに落ちるのに必要な時間だけ前)からベッドの上で眠る態勢に入っているべきだ。

 指導を始めたばかりのアスリートに、前日の夜、何時間眠りましたか、とたずねると、あいまいな答えが返ってくることが多い。

「ええと、7、8時間でしょうか」

 アスリートである彼らもまた、一般のほとんどの人と同じように、睡眠にでたらめなアプローチをしているのだ。

「23時ごろに寝たと思います。一度トイレに起きたんですが、それは朝の7時ごろで、その後7時半に起床しました」

 その前日は? もう覚えていない。

 起床時刻を一定にすることで、行き当たりばったりの時間に眠ることが避けられる。ここにルーチンを仕込むことで、自分の睡眠量について自信が持てるようになる(効果的なルーチンについては本書を参照。一部は著者の記事「寝る前に○○をするだけでグッスリになる理由」でも紹介)。