レアル・マドリードをはじめサッカーの最高峰のクラブチームから、オリンピック選手や一流ビジネス企業まで、世界のエリートパフォーマーたちに「眠りのメソッド」を専門に教えている「スリープコーチ」という職業の人物がイギリスにいる。これまでどんなメソッドを実践してもうまくいかなかった人たちが、彼がコーチをはじめると成果が上がるようになり、続々と世界の有名チームから声がかかっているという。このたびついにその門外不出のメソッドが著書『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』にまとめられた。
いま、睡眠の常識が大きく書き換わりつつあり、クリスティアーノ・ロナウドから小平奈緒、日本フィギュア陣まで、世界のトップアスリートが貪欲に最新の睡眠法を取り入れている実態については、本連載第1回「レアル、マンUがやっている『疲れが消える』独特の眠り方」、第2回「小平奈緒、実は試合直前『○○』に徹底してこだわっていた」で詳述したが、本稿では、「どうすればよく眠れるのか」について具体的に書かれた部分を一部特別公開する。
寝る前に「これ」をするとよく眠れる
就寝前のルーチンでは、入眠に適した状態になるための準備をする。
自然に最初の睡眠サイクルに入り、継ぎ目なく次のサイクルへと移り、自分に必要な「浅い眠り」と「深い眠り」と「レム睡眠」を最大限に取れる状態に持っていくのだ。
その際、睡眠中の無防備な数時間に備えて、障害となる要因を取り除くことを考えるべきだ。
たとえば、遅い時間に食事をした場合。障害要因を取り除くには、いきなりベッドに直行しないことだ。満腹状態と消化活動は、午後9時から10時ごろに腸の活動を抑えるという体内時計の要求と衝突するので、これが睡眠の質に悪影響を及ぼす。
また、アルコールは心地よい眠気を与えてくれる一方で、過剰に取ると睡眠の質に悪影響を及ぼす。
仕事で心配な話が持ち上がった夜は、ベッドに入った直後に考えごとを終わらせるのは無理というもの。寝る前に、頭の中身をいったんダウンロードする必要がある。
だから、就寝前に「ルーチン」をすることが大切なのだ。
私の場合、家にいるときは午後11時に就寝するので、午後9時半から準備を始める。とはいえ、派手なアクションは必要ない。
小腹がすいているときは、いまのうちに軽く食べる。眠る前の最後の水分を取るのもこのときだ。のどが渇いて夜中に起きるのを防げる。それから、夜中にトイレに行きたくて目が覚めるのは嫌なので、膀胱を空にしておく。
就寝前のルーチンは、こういった当たり前の身体機能の準備だけではない。入眠にしっかり備えるために確実にしておきたいことが、他にもたくさんある。