入院保障がベースの民間医療保険は
出番が減って宝の持ち腐れになる!?

 このように「入院から在宅へ」という医療政策が色濃くなっている中で、現在、発売されている民間の医療保険は将来的にも「安心」をもたらしてくれるのか。

 冒頭で説明したように、老後の医療費を賄うために、一生涯保障される終身型の医療保険に加入している人は多い。しかし、現在、発売されている民間の医療保険の多くは入院給付金がベースで、入院した場合に1日あたり5000円や1万円など、あらかじめ決められた保険金額を支払う契約になっている。つまり、入院しなければ給付金を受け取ることはできない。

 しかし、在宅医療が増える社会環境のもとでは、病気になってもなかなか入院はできなくなるだろう。これでは、たとえ民間の医療保険に加入して、保険料を払い続けたとしても、給付金は受け取ることはできない。

「介護施設に入ればお金はもらえるのでは…」と期待してみるものの、入院先として認められているのは、医療法で定められた病院や診療所だけなので、介護施設などへの入所は対象外。在宅医療が主流となる社会では、入院給付金をベースとした民間医療保険の出番は減っていきそうだ。

 とはいえ、高齢になれば病気になる確率は高くなり、医療を受ける機会は増える。その時、頼りになるのは、「入院しないと受け取れない」という使い道が限定された保険ではなく、医療費の自己負担を賄える現金(預貯金)だ。

 保険は、銀行の預金のように自由に引き出して使うことはできない。支払い要件を満たす保険事故があれば保障を受けられるが、何もなければ保険料を消費するだけで、その分だけ自由に使えるお金は減っていく。万一のためにと入った保険が資産を目減りさせて、反対に資金リスクを生むことにもなりかねない。とくに40代以下の若い世代が終身型の保険に加入すると、保険料の支払い期間も長くなるので、加入は慎重に検討する必要があるだろう。

 ここで頭をもたげるのは、そもそも民間の医療保険に入っていないと、医療費は賄えないのかという疑問だ。