個別の株式や、投資信託などに投資している投資家が、株価の急落を受けて、第一に行うべきことは、自分の資産の現状を正確に把握することだ。端的に言って、保有資産の時価評価から目をそらさないことが大切だ。

 個人投資家に対して、「資産の時価を見ると、つい売りたくなるので、時価は見ない方がいい」といったアドバイスを送る向きもあるが、筆者は現実をよく見る方がいいと思う。

「リスクを感じつつも、必要な投資は維持する」という判断と、行動ができるようになって初めて一人前の投資家だ。自分の心の“どきどき具合”を自分で観察するというくらいの余裕を持てると理想的だ。

 なお、株式や投資信託に対する「投資」の場合、自分が持っているお金を資本として企業に提供して、経済価値を稼ぐことが本質なので、投資ポジションを持ち続けることに意味がある。もともとのリスク量が適当だったのであれば、保有資産を売って損失、あるいは利益を確定しなければならないケースはごく少ない。

 これに対して、例えばFX(外国為替証拠金取引)のようなゼロサムゲーム構造の「投機」のリスクを取っている場合は、スクエアポジション(売り持ちも、買い持ちもない状態)が基本なので、「状況が分からない」と思った場合には、速やかにポジションを閉じることが肝心だ。

評価損益は気にしなくていい

 以下、「投資」の場合について話を続けよう。

 前記のように、自分が持っている株式や投資信託の時価を直視することは重要だが、自分の買い値と現在の価格を比較して、「評価損益」を計算する必要はない。

 この点は意外かもしれないが、過去の自分の買い値は、将来の株価の動きに全く関係ないので、無視していいのだ。

 一般論で言うと、例えば、1000円の株価で株式を買った場合、株価が900円に下がると、何とかして1000円に戻ってほしいと強く願って「1000円に戻るまで売りたくない」と思いがちだ。他方、1000円で買って大幅に儲かっていた株式が1050円まで下がってくると、「1000円を割らないうちに売ってしまいたい」とリスクが急に気になるような心境になることが多い。