テーブルで会話する若い男女グループ写真はイメージです Photo:PIXTA

「もっと戦略的に考えよう」と言われると、多くの人は新しい施策や効率化を思い浮かべる。だが、コーチングの現場で語られる戦略は、それとは少し違う。本当に戦略的な仕事とは、「何をするか」を増やすことではなく、「何をやめるか」を明確にすることから始まるというのだ。1万人以上のマネジャーを指導してきた筆者が示すのは、忙しさから抜け出し、影響力の大きい仕事に集中するための、シンプルだが本質的な問いである。※本稿は、経営コンサルタントのマイケル・バンゲイ・スタニエ著、翻訳家の吉村明子訳『1万人のマネジャーを指導したコーチングのプロが教える 質問力で人を動かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

日常的なやるべき仕事と
極上の仕事を分ける

 あなたのしている仕事の中に、絶対的に好きな仕事というのがあるだろう。あなたを夢中にさせ、ワクワクさせる仕事だ。変化をもたらし、影響力があるというだけでなく、あなたにとって特別な意味がある仕事だ。ありていに言えば、まさにこれをやりたいと思って今の職についた、そんな仕事だ。

 しかし、やらなければならない仕事はほかにもたくさんある。

 ボックス・オブ・クレヨン社(編集部注/著者が創業した、組織の活性化をサポートするカナダのコーチング会社)では、よい仕事(日常的なやるべき仕事、職務記述書に書かれるようなタイプの仕事)と極上の仕事(より深い意義と大きな影響力を持つ仕事)を区別し、組織のメンバーがよい仕事を減らして、極上の仕事を増やせるよう支援している。

 あなたとあなたのチームが極上の仕事を10%増やしたらどうなるか想像してみよう。しかし率直に言って、そんな時間がどこにあるのだ?実際、怠ける質問(「私にできることはありますか?」)で、あなたは不安を感じるかもしれない。誰かが本当に手助けしてほしいと言い出したらどうしよう、と恐れたのではないだろうか。

 メールも溜まっている、会議もある、提出物の期限もある、エクササイズもせねば、本も読まねば、それに家族と過ごす時間も大切。もういっぱいいっぱいなのだ。これ以上何かやれと言われても、おいそれと「イエス」とは言えない。