実は、部下のパフォーマンスが落ちた時や、ミスが増えた時は、ノンバーバル(非言語)を観察すると、どんな問題が起きているのか、その理由が見えてきます。

 ノンバーバルとは、表情や声のトーン、しぐさ、身振り手振り、話し方、話すスピード、服装などを指します。一般的に、笑顔が少なくなる、服装に乱れが生じる、話し方に覇気がないなどが見られた場合には、いつもと違うことが起きているのだと注意しなくてはいけません。

 Aさんの場合にも、ミスが増えた状況に至るまで、ノンバーバルの“SOSサイン”がありました。それは、日々、笑顔が少なくなってきていたことです。そして、最も大きなサインは、面談中に起きた「沈黙」のタイミングでした。

沈黙にこそ
問題の本質が隠されている

 人は、目上の人と会話していて、思っていることを言えないとき、偽りの返答をするか、もしくは沈黙することがあります。特に沈黙しているときは、心の中で自分自身と対話している、すなわち「自問自答」しているときです。

 つまり、この沈黙にこそ、「問題の本質」が隠されているのです。ではその問題にアプローチするには、どうすればいいのでしょうか。

 産業カウンセラーが現場でカウンセリングを行うときに、たびたび、こうした「沈黙」の場面に出くわします。そういったときは、焦ってこちらから話を振らず、アプローチのタイミングを待ちます。具体的には、次のようになります。沈黙の場面から見ていきましょう。

Aさん 「あ、えっと…。私の仕事の進め方が悪いのかなんて言うか…」
(5秒ほど沈黙)
Eさん 「…(沈黙時間にしっかり付き合う)」
Aさん 「すみません…。なんて言えばいいのか…」