「子どものAI」と「大人のAI」
第4回、第5回連載で説明した「ディープラーニング」の世界では、AIは報酬欲しさに自力で学習し、自らの知能を高めていくのです。
学習開始時は思いつきのような見当違いの行動を取っていたAIが、「強化学習」によって段々と成功体験・失敗体験から学んで、やがては人のプロも顔負けの緻密な行動を取るようになる様子は直感的にわかりやすいので、AI学習のPR映像にもよく使われます。
もしかしたら、みなさんの中にもテレビのAIの特集などで、そうした映像をご覧になったことがある人もいるかもしれませんね。
なお、「教師がいても、AIが強化されるのであれば、それも強化学習だ」と主張する学者もいますが、一般的には、「強化学習」は、「教師あり学習」の対義語として使われるケースが多いように思います。
この「AIの強化学習」のもととなっているディープラーニングをする「子どものAI」。
一方で、ヒトが一から教えて丸暗記させる「大人のAI」。
同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」である「Google翻訳」と、「大人のAI」である別の翻訳サービス(X翻訳)に同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介しています。現在一番人気の第2回連載「近い将来、『税理士や翻訳家は失業』という予想は大間違い」と併せてお読みいただけたら、望外の喜びです。