全財産をかけて世界中の「幸せになる方法」を試す
もちろん、もし瞑想が簡単なことなら、誰もがストレスなしの生活を送っているはずだ。それにさまざまな信仰者が何千年にもわたり洞窟や修道院でその方法を学んできてもいないだろう。本当に、瞑想はシンプルに見えるが、毎日無言で座って心を静めるのには多くの時間と努力を要する。僕が長年にわたって多様な瞑想を実践してきた理由は以下のことだ。
子どものころ、僕は100万ドル稼げたら幸せになるだろうと思い、大人になっても金儲けに全力を注いだ。そして26歳のときに600万ドルを稼ぎ出した。そのとき僕は自分に何と言ったか? 「1000万ドル稼げたら幸せになるだろう」。だから頑張りつづけ、28歳ですっからかんになった。ずっと僕は幸せじゃなかった。ストレスを受け続けていて、体がその代償を払っていた。
そのとき、僕はいくら考えても幸せになる方法がわからなかったし、金で幸せは買えないと悟った。そして問題をハックすることを決心した。なにせ僕にはハッキング以外の武器は何もなかったから。
残ったわずかな金をかき集めて、次のことをした。
チベットに飛んで、瞑想を創始した師匠たちから学んだ。
ネパールで10日間にわたる仏教系の無音の瞑想の静修会に参加した。
5年間、毎日、ヒンズー教系のアート・オブ・リビングの呼吸法瞑想をシリコンバレーの超成功者の友人たちとともに練習した。
テック系企業のCEOたちがオンラインで予約できるようになるよりずっと前に、ペルーのジャングルで行なわれる伝統的なアヤワスカ〔アマゾン西部の先住民がシャーマニズムや民間療法に用いるつる草〕の儀式を体験した。
上級のヨガと、ヨガの呼吸法「プラナヤマ」を学んだ。
セドナ砂漠の洞窟で数日間、一人で断食した。
電極を頭に装着し瞑想中の脳波を測定する方法を身につけた。
これらの経験はどれも簡単ではなかったが、有益でいろいろと勉強になった。
(本原稿は『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』よりの抜粋です)
1. Eileen Luders et al., "The Unique Brain Anatomy of Meditation Practitioners: Alterations in Cortical Gyrification," Frontiers in Human Neuroscience 6 (February 29, 2012): 34, doi:10.3389/fnhum.2012.00034.
2. "Brain Gyrification and Its Significance," Stanford VISTA LAB WIKI, June 8, 2013,
http://scarlet.stanford.edu/teach/index.php/Brain_Gyrification_and_its_Significance#Relevance_to_Species_Intelligence
3. "Meditation: In Depth," NCCIH, February 1, 2006,
https://nccih.nih.gov/health/meditation/overview.htm
4. Sara W. Lazar et al., "Meditation Experience Is Associated with Increased Cortical Thickness," NeuroReport 16, no. 17 (November 28, 2005): 1893-97.
5. Brigid Schulte, "Harvard Neuroscientist: Meditation Not Only Reduces Stress, Here's How It Changes Your Brain," The Washington Post, May 26, 2015,
https://www.washingtonpost.com/news/inspired-life/wp/2015/05/26/harvard-neuroscientist-meditation-not-only-reduces-stress-it-literally-changes-your-brain/