シリコンバレーでIT企業家として長年活躍してきた著者が、ITの専門家としての技能を生かして、自らの体を「ハック」し尽くし、さらには23年の歴史を持つパロアルトのNPO、シリコンバレー保健研究所の所長(後には会長)として、さまざまな医学分野のエキスパートに取材し、現在の科学の最先端の脳の機能UP法を1冊にまとめた。タイトルは『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』。アメリカでは初版から10万部で刊行され、大反響を呼んでいる。本稿では、同書から特別にそのハイライトを紹介したい。

「バカはバカ」という常識は大間違い

 もしあなたがたいていの人と同じならば、僕が大人になるまでに身についた考え方と同じような考え方をしているはずだ。

 知性は変わらない。パフォーマンスは努力の問題だ。バカはバカで、それはどうしようもない。失敗するのは、怠けぐせのせいか、努力が足りないから……あるいは、成功するだけの強さがないからかもしれない。次はもっと意志の力を振りしぼってもっと努力すべきだが、それでもまだ失敗するとしたら、それは自分自身が失敗作だから。責任は自分にある──。

 成功するためには超人的な賢さをもっているか、信じがたいほどの努力を傾けることが必要だという信念が、僕らの文化には築かれている。僕らは懸命の努力とか「生まれ持った」才能とかを崇拝する。「奮闘努力」は成功のカギ。「切れる頭」は成功のカギ。だが、もしそうでなくてもよかったらどうだろう? もっと簡単に成功できるとしたら?

 僕の経験では、失敗の不安は驚くほど多くのことの達成につながる。僕は30歳になる前に、幸運にも、何十も歳上の人でも満足するだろうキャリアを築いていた。

 360億ドルの価値ある会社の技術戦略部門を率い、現代のインターネットのインフラの構築に重要な役割を果たし、IBMの最高レベルの相談機関に名をつらねていた。すでに600万ドルを稼いで(そして失って)いた。世界トップの名門ビジネススクール、ウォートンでMBA取得コースに通いながら、最終的には6億ドル以上で売却することになる新規企業の重役としてフルタイムで働いていた。

 早い話が、僕は大勝ちした。しかも、周りからは簡単そうに見えたはずだ。