働く人の意識や志も変わり
雇用する企業側の考え方も変わった

──当時、低賃金労働の元凶になるのではないかという認識はなかったのですか。

 そういう主旨のマスコミからの取材も結構受けていて、その都度丁寧に説明していました。

 マスコミだけではなく、国会でも取り上げられました。野党の先生が「フリーターという言葉があるがどういうものか」という質問をされて、労働省(現・厚生労働省)が「私どもの認識では、フリーターという概念がありませんのでよくわかりません」と答えていました(その後、厚労省はフリーターの定義を15~34歳のパート・アルバイト等とした)。

 そういうこともあったので、労働省からは「フリーターという言葉を煽らないように」と“ご指導”がありました。

 それでも気にしないで放っておくと、江副社長が「労働省さんがやってくると言っている。どうするつもりなんだ」と言ってきましたが、違法行為をしているわけではないので、「放っておいてください。私があずかりますから。労働省はよくお調べになったらいいです」とだけ言った記憶があります。

 その後、労働省や内閣府が「フリーター調査」を始めたときには、こちらはフリーターで商標登録をしているので「労働省や内閣府が勝手に使っているので、訴えてください」と江副さんに言ったものです。

 確かに、フリーターの意味が変わってしまったのはその通りだと思います。働く人の意識や志も変わり、雇用する企業側の考え方も変わってしまいました。そうした現状を複雑な思いで受けとめています。