彼らも裏では、時間を考慮した利回りを必ず計算しています。顧客から集めた保険料をしかるべき利回りで運用し、それよりも低い返戻率で「解約返戻金」や「学資金」を支払うことで、企業としての利益を上げています。これは何も間違ったことではありませんが、消費者である私たちは、保険での資産運用は保険会社が言うほど得ではない可能性が非常に高いということを覚えておくべきでしょう。

最後にもう一度強調しておきますが、すべての保険商品が悪いというわけではありません。健全な売り方をしている保険会社もあるはずです。大切なのは、保険を利用する私たちが、自分の求めているものをはっきりさせ、保険会社や販売員に必要な質問をすることです。顧客のことを考える会社であれば、詳しく説明をしてくれると思います。

【執筆者紹介】
岩崎淳子(いわさき・じゅんこ)

ファイナンシャル・プランナー/米国公認会計士/パーソナル・ファイナンシャル・スペシャリスト(CPA/PFS)/Smart & Responsible代表。上智大学ドイツ語学科を卒業後、NTTに入社。米パデュー大学大学院 経営科学修士。ガートナーなど外資系IT企業にて、マーケティング戦略やアナリスト業務を経験したのち、2000年、夫の転職を機に米バージニア州に移住し、2歳児の子育てと家事を担当する専業主婦へと転身。大学で工学を教える夫が、家計に関わる余裕がなかったことから、自身の役割を「一家を支えるCFO」と再定義。仕事で培ったリサーチ・分析の能力を武器にしながら、独学でCPAとPFSの資格を取得。2011年、自身の苦労した体験に基づき、個人向けファイナンシャル・プラニングを行う「Smart & Responsible」を立ち上げ。主婦と専門家の2つの視点から、効率的な家計システム構築のヒントをアドバイスしている。現在、米カリフォルニア州在住。聖書をこよなく愛するクリスチャン。初の著書『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』を出版。