何度でも繰り返すが、米国の外交方針は「アメリカファースト」で徹底している。まず考えられる「落としどころ」は、「北朝鮮を核保有国と認めるが、米国に核兵器を向けないこと」である(第166回)。元々トランプ大統領は、「日本や韓国は、自分で自分の国を守れ」「日本は核武装すべきだ」と言っていた(第145回)。北朝鮮の核兵器がズラッと日本に向けて並べられる時、トランプ大統領が「核武装して、自分で守れ」と日本を突き放す可能性は否定しきれない。それが「アメリカファースト」だからだ。

 中国・ロシアは、口を開けば「非核化」と言っている。だが、本音は別のところにある。東西冷戦期から、中国・ロシアは「敵国」である米国・日本と直接対峙するリスクを避ける「緩衝国家」として北朝鮮を使ってきた。北朝鮮の体制を保証すれば、「緩衝国家」が今後も存続する。その上で「緩衝国家」が核兵器を保有し、それを日本に向けることは、北東アジアの外交・安全保障における中国・ロシアの立場を圧倒的に強化することにつながる。中国・ロシアの本音は、「北朝鮮の核保有は国益」なのである。

 そして韓国も、北朝鮮の核兵器が日本にだけ向くのであれば、黙認するであろう。もっと積極的に、「日本はかつて悪事を働き、今も反省していない」という理屈で、それを正当化するのかもしれない。

米朝首脳会談で何が決まるか(2)
在韓米軍の撤退

 ここまでは、この連載で主張してきたことだ。今回は、もう1つ別の可能性を考えてみたい。トランプ大統領が、北朝鮮の核兵器廃棄に対する見返りとして、「在韓米軍の撤退」を実現することである。それは、中朝首脳会談における金委員長の発言、「南朝鮮(韓国)と米国が善意をもって応じ、平和実現のために段階的、共同歩調の措置を取るならば、非核化の問題は解決できる」と一致している。

 トランプ大統領が「アメリカファースト」に徹していると考えれば、これは決して荒唐無稽な話ではない。そもそも、「在韓米軍の撤退」はトランプ政権以前から検討されていたものだ。バラク・オバマ前大統領は、2013年9月に対シリア内戦への軍事不介入声明を発表した際、「もはやアメリカは世界の警察官ではない」と宣言した。そして、中東からの米軍撤退、、2020年から2026年の間に沖縄から海兵隊を含む全米軍撤退(非公式)、NATO(北大西洋条約機構)の閉鎖又は欧州中央軍への統合、中南米、アフリカ地域からの米軍撤退などとともに打ち出されたのが、「在韓米軍の撤退」だったのだ(第145回)。