ベア(ベースアップ)については、グローバル競争を考えると、大幅に上げるのは厳しい。いったん上げてしまうと下げるのは難しいので、一般的には経営者は嫌がるでしょう。

 ただ5年前に比べて円高も是正され、賃上げした企業への減税も実施されています。また、インフラ輸出に関しても、総理が外国を訪問した際に売り込むなど、民間が輸出しやすい環境作りを政府がかなりやってくれました。だから、総理の要請に応じなければならないという意識は、多くの経営者にあったと思います。

 ただ、競争環境がどうなるかなど、安心できない部分もあります。どこまで総理の要請にこたえられるのか、各社、悩んだのではないかと思います。

賃上げを訴えてきたのは
“負のスパイラル”を断ち切るため

──そもそも、経済財政諮問会議で「3%賃上げ」を提案したのは、どういう問題意識からですか。

 消費関連の事業をやってきましたら、消費が伸びない中で、デフレ脱却はイコール賃上げだということは肌で感じていました。

 デフレが問題なのは、売り上げが伸びない中で、企業が付加価値の高い、革新的な商品を作ろうというよりも、人件費などのコストカットに走ってしまうことです。それが消費をさらに停滞させ、企業側にも新しいことをやってみようという意識がなくなってしまいました。

 そうした“負のスパイラル”を断ち切るきっかけが「賃上げ」なのです。ただ、自分の会社1社だけではできません。そこで、ローソンの社長をしていた頃から、経済同友会の副代表幹事もしていたこともあり、「みんなでやりましょう」と会員企業に言い続けていました。