バフェットとマンガーの御託宣を聞こうと集まってきた3万5000人の株主。44年間にわたって、投資の知識と手法,ネットワークを複雑なクモの巣のように構築してきた両氏の話は、まるで大学の講義か教会での牧師の教えのように知的刺激と鎮静作用があるといわれる。Photo(c) AP Images |
シリーズでお伝えしてきたバフェット率いるバークシャー・ハザウェイの株主総会“潜入ルポ”。最終回は、バークシャーの主力事業である保険ビジネスから後継者問題まで、残された主要テーマに沿って、バフェットの御託宣をお伝えする。前置きはこれくらいにして、早速見てみよう。
<バークシャーの保険業務>
バークシャーは、収入の半分を保険業務から得ている。保険の種類は、自然災害に備えたものから自動車保険まで多岐にわたる。
バフェットは、不況は保険業に甚大な影響を与えないとしたが、昨年の業績はさほどよくなく、また今年も期待できないとした。ただ、そんな中で、同社傘下の自動車保険会社ゲイコへの加入は伸びているという。「自動車保険は誰もが加入しなければならない。今はみな、100ドル、200ドルを節約しようとしている」(バフェット)。その時に、ゲイコのような経費削減型の保険は魅力になっているという。
<格付け会社>
これまでトリプルAを誇ってきたバークシャーは、今年に入ってムーディーズやフィッチ・レイティングによって格下げされた。バフェットは、「格付けの常で、トリプルAをすぐさま回復することはないだろう」と述べた。
ただ、格付け会社を批判することも忘れなかった。「格付け会社は、住宅価格が今後も永遠に上昇し続けるという間違った前提で格付けのモデルを構築していた。そもそも金融商品の分析において、大きな間違いを犯していたのだ。ただ、それは誰もが同じだったが……(バフェット)」。
バークシャーはムーディーズの20%以上の株式を所有しているが、その地位を利用して影響を与えようとすることはないし、他の投資先企業についてもその姿勢は守ると強調した。「格付け会社は、今でも有望なビジネスと見ている。参入企業が比較的少なく、元手もいらない」とバフェットは語っていた。