錦市場ではかなりの店がイートインを採用しているPhoto by K.H

 極めつけはイートインだ。錦市場では、買った商品をそのまま店内で食べられるというイートインが、かなりの商店で行われている。

 筆者が注目したのは、昭和35年に創業した「錦大丸」だ。見かけは普通の魚屋さんだが、店内にはイートイン向けの席がしつらえてある。店頭には活きのいい鮮魚に加え、イートインにはもってこいのサバやウナギの押し寿司もある。店内では缶ビールも売っているという気の利きようだ。

 錦市場の多くの店がこのイートインを取り入れているが、実は苦肉の策として発案されたものだったという。代表取締役の大隅勇三さんは、近年の錦市場の変遷を次のように語っている。

イートインには老若男女が集まる Photo by K.H

「錦市場のお客さんのほとんどが、外国人客だと言っても過言ではありません。その反対に、地元のお客さんが遠ざかってしまいました。これほどまでに外国人が増えれば、ベビーカーも自転車も通れません。ますます地元客が来なくなるという悪循環の中で、観光客向けに商品在庫をさばくための発案がイートインだったのです」

 串刺しを中心とした「食べ歩きスタイル」は、“新たな販売モデル”とはなったものの、「夕方過ぎると、通路はゴミの山」(大隅さん)になってしまう。それぞれの商店の軒先は、面積の限界もあり大きなゴミ箱を置くことはできない。イートインはこうした問題から生まれてきた発想でもあった。

 京都錦市場商店街振興組合は、外国人客向けの売り方の工夫については「それぞれの店の個別で、自発的な取り組み」とし、組合としての関与はないという。それにしても個別店舗の、市場動向をにらんでの“打つ手の速さ”は注目すべきものがある。