昨年12月にはギンザシックスの初年度売上高の計画を上回るのではないかという期待や、インバウンドの免税売上高の伸長期待を織り込んで、12月には株価も高値2200円近くまであったから、ギンザシックスの近況が明らかになるにつれて失望売りが出た格好だ。

 ギンザシックスの600億円という売上高は、あれだけの好立地にありながら、同じ銀座地区の三越銀座店の810億円(17年2月期)、さらに松屋銀座本店の705億円(同)にも届かない。開業2年目は1年目の開店景気を差し引いたら、売上高はさらに下がる可能性が高い。

 ただ、旧松坂屋銀座店閉店間際の約100億円そこそこの売上高に比べ、6倍にも高まったのだから「一応の成功」と評価できるし、グループ会社のパルコなどを通じてテナントリーシングを学ぶ機会を得たことは、今後の不動産開発路線にも活用できギンザシックスの成果ともいえなくはない。

 ギンザシックスでは、百貨店がまるで呪縛にとらわれているかのように固執し続けてきた、衣料品の自前売り場も縮小。儲からなくなっている衣料品と、単店としてはようやく決別した格好となっている。一部では「従来の百貨店ビジネスモデル転換の教科書になるのでは」と称賛されている。

Jフロントがあえて
言及していない2つのリスク

 実はJフロントでは、リスクマネジメント委員会で138のリスクを抽出し発表している。決算短信などでは事業上のリスクを表記するように一応は求められているが、山本社長は「現在は変化のスピードが早くリスクへの対応いかんによっては格差が生まれる」として、リスクに対応する姿勢を強く打ち出している。

 そこには想定されるリスクが縷々つづられている。なかでも19年2月期に「19年10月の消費増税や東京オリンピック後の不況の発生懸念」「顧客の変化、特に少子高齢化、長寿命化に係るリスク」、「テクノロジーの進化に係るリスク」など6項目を抽出、重視するリスクとして対応していく方針を明らかにした。

 しかし、Jフロントにはあえて言及していないリスクがある。しかも、好業績を牽引してきた2つの要素が一転して大きなリスクに変わる可能性があるが、これについては全く触れられていない。