さらに、仕事で成果を出すためには、斬新なアイデアや企画を生み出すことも欠かせない。そういった新しい商品やサービスを創造することや、既存のものを改革するためにも、この「受信力」は大切なのである。

 では、「受信力」を磨くには具体的にどうすればよいのか。フランスの小説家モーパッサンは、ある作家の先輩から小説を書く勉強法として「パリの街頭に出かけたまえ」と言われたという。さらに、「一人のタクシー運転手をつかまえることだ。その男は他の人と何ら変わらない運転手に見えるかもしれない。しかし君の描写によって、この男が世界中のどの運転手ともちがった一人の独自の人物に見えるようになるまで、君はこの男を研究してみなさい」と教えられたそうだ。

 たしかに、世の中の大多数の人は同じような見た目で同じような生活を送っているように見える。しかしそれぞれが抱える事情は、千差万別だろう。そのような一人ひとりの人間が持っている物語を積極的に受信しようとすることは、アイデアを生み出す力が鍛えられ、時にはアイデアの源泉ともなるのだ。

 このように、「受信力」は相手へのリーダーシップと、改革のアイデアという二つの可能性が秘められている。だからこそリーダーになる人は、まず部下をはじめ上司、取引先の一人ひとりに目を向け、耳を傾けてみてほしいのである。

 入社3年目ぐらいの若手社員にとっては、リーダーになること自体まだまだ先のことのように感じているかもしれないが、「受信力」はすぐに身につくものではない。これを機に今からコツコツ磨いておけば、あなたがリーダーになった時、素晴らしいリーダーシップとイノベーションの両方を実現させることができるだろう。