2016年9月、ジェフ・ベゾスはアポロロケットの「サターン5」とほぼ同じサイズの大型ロケット、「ニュー・グレン」を発表しました。ブルーオリジンのロケットエンジン「BE-4」を7基搭載するロケットです。
ニュー・グレンという名前は、アメリカ人として初めて軌道に到達したジョン・グレンにちなんでつけられました。
また、より巨大なロケット「ニュー・アームストロング」を計画していることがあわせて発表されました。これは人類で初めて月面に降り立った、ニール・アームストロング船長にちなんだものです。
月面経済開発については、月面基地建設のための輸送システムの確立を目指し、月面輸送機「ブルームーン」の開発を発表しています。
年間1000億円の投資は、こうした一連の開発に向けた投資となるのでしょう。
2年違いで宇宙ビジネスに参入したジェフ・ベゾスとイーロン・マスク。二人は宇宙ビジネスのライバルのような構図で描かれることがありますが、タイプや戦略はまったく異なります。
ただ、二人に共通しているのは、まずは輸送機を安くつくり、宇宙へのアクセシビリティーを高めようとしていることです。宇宙輸送コストを下げることで、その先に潜む無限のマーケットへの扉が開かれるのです。
(この原稿は書籍『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)