東京レインボープライドに
企業が協賛する意義とは?
「東京レインボープライド」が初めて開催された2012年に比べると、ここ数年は隔世の感を覚えるほどに多くの有名企業が協賛し、今年はさらに多くの企業がイベントを支援している。
その理由のひとつとして考えられるのは、CSRの取り組みとしてダイバーシティ&インクルージョンの重要さが広まったことにより、支援をアピールすることの社会的意義を企業が考えるようになったからだろう。
また、「LGBT市場(ピンク・マーケット)」と称される当事者の購買意欲を喚起するために、企業のイメージアップをねらうという思惑もあるかもしれない。
しかし、多くの企業担当者に話を聞いて分かったのは、「社内(従業員)に向けてのアクション」の側面が大きいということだ。
経営者や管理職がいくら旗を振ろうとも、担当者がその必要性を社内で説いて廻ろうとも、ダイバーシティ&インクルージョンの姿勢やCSRに対する社員の理解は思うように高まらないと、多くの担当者が口を揃える。
ところが、「東京レインボープライド」に参加してみると、その健康的で明るい雰囲気に驚き、会場の様子やパレードを楽しむことで一気に意識が「アライ」へと向かう例が多いそうだ。
100の言葉を並べるよりも、「楽しい」を体験する方が人の意識を変えるのだろう。
「セクシュアル・マイノリティは自分から遠い存在ではなく、隣人だ」と実感する社員が増えることで、協賛企業の志す風土が作られていくにちがいない。