株主総会2025#28

EC(電子商取引)向け物流支援のイー・ロジット(東証スタンダード上場)で熾烈な経営権争奪戦が繰り広げられ、関係者が「会社の乗っ取りだ」と証言する手口が分かった。6月の株主総会で経営陣が刷新されたが、なお上場廃止の危機が残るなど予断を許さない状況が続く。特集『株主総会2025』の本稿では、関係者への取材や内部資料を基に、内部抗争の内幕を暴く。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

10億円の債務超過に転落
イー・ロジット内部で不協和音

 全ての始まりは、イー・ロジットが直面した深刻な経営危機にある。大型物流センターへの先行投資が重荷となり、同社は2024年3月期決算で10億円超の債務超過に転落。上場廃止の崖っぷちに立たされた。

 この窮地を救うべく現れたのが、アパレル物流を手掛けるジーエフホールディングス(以下GF)と、トヨタ自動車の創業家本家筋とされる豊田Holdings(HD)だった。24年9月、イー・ロジットはこの2社を引受先とする第三者割当増資に踏み切る。1株180円で新株を発行し、5億円を調達。さらに新株予約権(ワラント)も付与し、総額17.7億円の資本増強策で急場をしのいだ。

 これによりGFおよび豊田HDはイー・ロジットの主要株主となり、GF出身の児玉和宏氏が代表取締役会長に、竹内正弘氏が社長執行役員に就任し、経営の主導権を握った。

 当初、この資本提携は経営再建に向けた希望とみられていた。しかし、新経営陣の運営が始まると、創業者で大株主でもある角井亮一氏との間で、経営方針を巡る溝が次第に深まっていくことになる。