【必読ポイント!】
◆アマゾンの物流戦略
◇アマゾンはなぜ物流にこだわるのか

 一般的な小売業、例えば百貨店や服飾品では、リアルな店舗が顧客との接点になる。そして、店舗での接客の質により、顧客満足度は大きく左右される。それに対し、アマゾンのような通販事業の場合、顧客との接点は、ウェブサイトと、商品を顧客の手元に届けるところの2点のみである。接客という手段がとれない状況で、リアルの店舗に匹敵するサービスをどうすれば提供できるのか。

 アマゾンにとっての答えは、唯一の顧客との物理的な接点である、顧客の手元に商品を届けるところのサービスレベルを最大限まで引き上げることだった。これにより顧客満足度を上げ、次の購入につなげられる。

 顧客満足度に大きく影響するのは、主に「配送スピード」と「品質」である。期待した時間に、あるいはそれよりも速く、注文品が正しく、傷のない状態で届くこと。この2点が満たされることによって顧客満足度は上がる。だからこそアマゾンは、独自の物流戦略を持つようになったのである。

◇販売と物流の一体化、物流への投資を惜しまない

 アマゾンの物流戦略で特徴的なのは、販売と物流の一体化によって、スムーズな情報連携を可能にしている点だ。販売側とオペレーション側の調整プロセスでは、責任のあるメンバーが集まり、トップダウンで予実管理を行う。よって、無駄のない動きが可能となっている。

 また、物流部門への巨額の投資もアマゾンならではである。「2016年度物流コスト調査報告書」によると、日本の小売業の売上高に対するコスト比率の平均は、4.85%だという。これに対して、アマゾンの2016年12月期の売上高に対する物流コストの比率は13%にもなる。グローバルでの投資額とはいえ、2兆円もの額が物流関連に投資されているというのは驚異的だ。アマゾンのビジネスにおいて、物流がどれほど重要視されているか、この投資額の大きさからも明らかだろう。

◇品質への徹底したこだわり

 アマゾンが配送スピードとともに重視しているのが、顧客に届ける商品の品質である。ネット通販の場合、実際には顧客が目にしていない商品が、手元に届くことになる。だからこそアマゾンは、いっそう品質に気を配るべきだと考えている。

 現に、アマゾンの倉庫における商品の入荷検品、出荷検品の基準は相当厳しいものになっている。梱包資材の種類や厚みを変えるなどの試行錯誤が行われている。

 また、配送ミスを減らすために、アマゾンは、トヨタの生産システムにおける「カイゼン」や「アンドン」の手法を取り入れている。「カイゼン」は工場の作業者が中心となって行う改善活動のことだ。

 一方、「アンドン」は異常が起きたときに、すぐにランプがついてそれを周囲に知らせる仕組みを指す。アマゾンの社内でも、顧客から大きなクレームが入った際、アンドンのスイッチを押すと、該当商品の出荷を止められる。このように、製造業並の対応によってミスを減らし、日々改善を進めているのだ。