具体的な取り組みの一つが、「絞りと集中」だ。

 それまで、キリンは商品数が多かった。例えば、ここ数年低迷が続いた新ジャンルは、てこ入れを図ろうと麦系で計12種類の商品を投入してきたが、いずれも伸び悩んだ。予算の都合もあり、広告などへの投資を継続できなかったのが要因だ。

 目先の利益を求めて派生商品などの新商品を展開し、投資が分散されて悪循環に陥っていた。主力商品を絞り込んで販促費にめりはりをつけることで、攻める商品を明確にしたのが好調の理由だ。

 消費者とのコミュニケーションにも課題があった。新ジャンル主力商品の「のどごし〈生〉」は、昨年ブランド合計で約5%減と大きく後退したが、原因の一つが広告とターゲットとのずれだ。「40代の働くお父さんをイメージしたCMを打ったが、購買層には50~60代や女性も多く、飲用体験につながらなかった」(布施社長)。

 しかも、のどごしは豆系といわれる爽快さが売りの商品であったが、その特徴が伝わらず、ビールのような味わいを求める消費者のニーズの中に埋没していた。詰まるところ、伝える力や消費者との向き合いが不十分だったのだ。

 6月にリニューアルを控えるのどごしでは、進化した爽快さと商品の刷新をパッケージで前面に打ち出し、大規模な広告も投下。また、高アルコールの満足感があるのどごしストロングと、ビールに近い味覚の本麒麟とのすみ分けを明確にすることで、細分化するニーズに訴求する。

「ロケットスタートが大切」という布施社長。4月以降は、業務用酒類の値上げの反動がある中、この勢いをどこまで加速できるか。改革への“本気”が試される。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)