求められる
国際社会全体の冷静な対応

 とりあえず、今、朝鮮半島は事態の改善につながっているように見える。ただ、それを、本当に信用してよいかは今後の展開次第だ。必要以上に懐疑的になる必要はないものの、過剰反応の楽観主義はさらに悪い。

 世界に求められるのは、冷静に現状を把握し、必要な対策を準備することだ。ポイントは、中国を含めた世界全体にとって望ましい形で北朝鮮の非核化に向けた意見を形成することだ。

 中国にとって、北朝鮮は米国との直接対峙を回避する緩衝国であり、失いたくはないはずだ。北朝鮮の非核化の見返りに、中国が安全保障を強化・保障することも考えられる。中国の主導で北朝鮮問題を解決することは、結果的に朝鮮半島を巡る米中の覇権争いをし烈化させる可能性がある。必要なことは、国際世論に基づいて、北朝鮮の最終的かつ不可逆的な核放棄を求めることだ。

 今後、わが国は、能動的にアジア各国に外交を展開し、インフラ開発や環境保全などの支援と引き換えに賛同を取り付けるべきだ。まず、米国との安全保障関係を基礎に、北朝鮮の核放棄を求めることだ。

 そして、さらに重要なことは政治経済面でアジア諸国との連携だ。TPPなどの多国間の経済連携を進めて自由貿易経済圏を整備し、競争に関するルールの統一化を図る。それは、政治経済の側面から対中包囲網を形成し、中国の海洋進出などを抑止することにもつながる。

 アジア各国などとの関係を強化し、北朝鮮の核開発に断固反対する陣営を形成する。そうした取り組みを進めることができるか否かが、将来のわが国の進む道を明確にする。北朝鮮問題の解決に向けた議論に出遅れたとの見方を払拭するためにも、能動的にアジア各国との関係を強化し、対北朝鮮政策への見解を共有することが求められる。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)