いわゆる「加計学園問題」は、国家戦略特区制度が乱用されたのかどうかが問題とされている。特区制度は広く捉えれば「規制改革」。この規制改革について、各マスコミの論調を見ていると、きちんと理解されないままイメージで語られているように思われる。そこで、規制改革について、かつて官僚として実務を経験している筆者が解説する。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
加計学園問題は「規制改革」の乱用
恣意的運用の疑いに関する問題
規制改革、安倍政権になってからは「岩盤規制」(緩和や撤廃が簡単にできない規制の意味)という言葉まで登場し、「規制改革推進会議」を推進母体として積極的に進めてきている(とされている)。
その安倍政権、現在、森友学園問題に続いて加計学園問題でも、元総理秘書官の関与を裏付ける文書が発見、公表され、さらに厳しい追及を受けるに至り、「断末魔」と評せるような様相を呈している。
元総理秘書官である柳瀬経産審議官の国会への証人喚問を巡る与野党の綱引きや、財務省の福田前次官のセクハラ疑惑への対応で迷走し、野党の追及は少々膠着ぎみではあるが。一方で、国会の空転は、新たな事実が出てくることを恐れる与党側にとっては願ったりかなったりになったようではある。
これらの問題自体の詳細については別稿に譲るが、森友学園問題の本質が国有財産の不適切な処分に関する問題であるのに対して、加計学園問題は本質的には「国家戦略特区制度」という、国の制度の乱用に関する問題である。
この国家戦略特区制度は、地域を限定して規制改革の実験を行い、規制改革、なかんずく「岩盤規制」とされているものをなくすか、緩和することを通じてわが国の経済成長に寄与することを目指すものとされている。