さらに、初めてなのにいきなり3日間短縮バージョンをやろうとすると、とても疲れてしまいます。うまくいったけれどものすごく疲れた、とんでもない体験だった、といった感想を持ってしまうと、次につながらなくなってしまいます。

 また、カスタマイズする際に変えないで大切にしてもらいたいのは、プロセスの最後の試作の作成とユーザーテストの部分です。スプリントの価値が凝縮されており、重要な学びを得られるところなので、そこは省略してほしくないですね。

ジェイク・ナップ(Jake Knapp)
グーグルで、あらゆる仕事を最速化する仕事術「スプリント」を生み出し、Gmailのデザインプロジェクトに生かすなど大きく貢献。その後、スプリントをスラックや23andMEなどで150回以上にわたり実行。グーグルの後GV(グーグル・ベンチャーズ)を経て、現在はIDEO客員フェロー。

倉光:スプリントに興味がある企業や部署が、半日または1日程度の「お試し」をやってみるのは可能ですか。

ジェイク:スプリントをPRするツールとして、1時間のパッケージのようなものが生み出されたりもしていますが、やはりそれではリアルな「経験」にはなりません。

 ですので、そこは発想を切り替えてもらいたい。スプリントをすべき重要な課題があるのであれば、「本当に5日間空けられないのか?」「今後発生するコストや時間を考えれば、むしろスプリントをいますぐやるべきではないか」という発想で考えてみてほしい。

 スプリントを会社に導入してみたいという人は、そういう発想で、なんとか5日間、メンバーが時間をつくれるように社内に働きかけるというストレートなアプローチの方がむしろ近道かもしれません。

スプリントを「大きな課題」にぶつける

五十嵐:最後に、今後スプリントの導入に興味を持っている企業は、その業務プロセスの中で、たとえば新規事業の立ち上げなのか、バックオフィスの業務改善なのか、どういった部分から始めるとよいのでしょうか。

ジェイク:これは企業の規模や種類を問わず、ベンチャーでも伝統企業、公的機関どこでも共通なのですが、やはり何といっても大きな課題、ビッグプロブレムに対してスプリントは最大の成果をもたらします。

 スプリントは5日間もメンバーの時間を拘束するので、小さな課題に使うのはもったいないです。また、大きな課題は資金も時間も莫大な投資になるわけですから、スタッフは不安でナーバスな気持ちで、フラストレーションをつのらせながら取り組むことになるものです。

 そうしたものに対してスプリントを使うと、ストレスフルな状況が大きく改善されるので、非常に効果を実感しやすいと思いますね。

五十嵐:なるほど、たしかにそうですね。

五十嵐、倉光:本日は貴重なお話をありがとうございました。