素通りしてしまった低所得者向けの住宅保障を、今になって慌てて取り戻す、というのが、昨今の「保障性住宅の普及政策」だというわけだ。

 第12次5ヵ年計画では、保障性住宅の供給は3600万戸が目標だとされている。不動産所有に乗り遅れた庶民のマイホームの夢は、もはやこれに賭けるしかない。

 識者には「これは政策の誤りだ」と指摘する声も少なくない。

「中国政府は途中で住宅払い下げ政策を打ち切り、『住宅は自分たちで解決せよ』という政策に転換した。これが商品住宅の流通という不動産市場を形成したわけだが、もたらされたものは住宅価格の異常なほどの高騰でしかなかった」

 90年代後半以降、中国市場は前代未聞の住宅購入ブームに沸き、鄧小平が唱えた「先富論」のシナリオ通り、先に富める者が中国経済を牽引した。

 だが、結果として格差を押し広げ、社会不安を招く事態となってしまった。

 本来、国の安定を考えるならば「保障性住宅」を前面に押し出す必要があったわけだが、政策はそうはしてこなかった。今この段階に来て、「不動産の所有」にこだわる国民をどう納得させるのかは、至難の業だと言わざるを得ない。