仕事の質を高め、やり直しを防ぐダンドリ仕事術「自工程完結(JKK)」は、仕事だけでなく、料理、勉強、旅行、スポーツなど「段取り」があるもの全てに活用できる究極の思考法と言えます。なぜ、究極なのか? 仕事の基本をまったく知らない人でもわかる? 学園でおこる難題に巻き込まれる女子高生のストーリーを通じて、ダンドリ、フレームワークといった幅広く使える便利なトヨタの思考法をやさしく解説する話題の新刊『誰でもストーリーでわかる! トヨタの思考法――知識ゼロから驚くほど合理的な「自工程完結」が身につく』から、そのエッセンスを一部抜粋して紹介します。
カップラーメンが絶対的に美味しくできる
カップラーメンを作る秘訣も実は、トヨタの思考法(自工程完結:JKK)だと確実です。
1 お湯を沸かす→『グツグツ』音が聞こえたら、良し!
2 (沸くのを待たず)カップのフタを開ける→ 線の位置まで開けたら、良し!
3 粉末スープ等の袋を取り出す→取り出せれば、良し!
4 袋を破り、粉末スープなどをカップに入れる→カップに入れれば、良し!
ちなみに粉末スープなどは適量が袋詰めされており、袋から出し切れば、良し!
5 沸いたお湯をカップに注ぐ→線まで注いで、良し!
6 フタを閉める→閉めたら、良し!
7 出来上がりを待つ→3分経ったら、良し!
この手順通り行えば、人に食べてもらう場合でも、味見、つまり検査は必要ありません。一つひとつのプロセスでカップラーメンの味を保証する(プロセスで結果を保証する)自工程完結そのものになっているからです。
ここで自工程完結を究極の思考法と呼ぶ理由を説明しましょう。
インフルエンザのウイルスなどと戦ってくれる免疫システム。免疫は、生命誕生38億年の進化の過程で獲得したメカニズムです。その免疫システムの本質は、『自己と非自己を認識し、非自己を排除』することにあります。つまり、正しいもの以外(外敵)を撃退する。言い換えれば、その場で“良し悪し”を判断するトヨタの思考法(自工程完結:JKK)そのものなのです。
マンガ『北斗の拳』を思い出してください。二千年の歴史を刻み受け継がれてきた、一子相伝の北斗神拳は、戦う相手の秘孔をつきながら、『あた、たぁ、たぁ、たぁ!(良し!良し!良し!良し!)』と叫んだ後に、相手に背を向けて決めゼリフがありますね。
『お前はすでに死んでいる』
振り向かずに、その場を去る。つまり、正しい『プロセス』(秘孔をつくこと)で『結果』(相手を倒すこと)を保証しているから、『検査』(確認)をする必要がないのです。