「あの人にリーダーをさせてみたい」
西野監督にはそう思わせる実力と人柄がある 

 さて、西野新監督の就任はサッカー協会の内部的には納得のいく人事だろうと言ったが、外部的にはどうか。

 私自身はハリル氏の監督としての手腕に期待していた。実は、ワールドカップの3試合を全部別のチームで編成し、完璧な戦術でもって操るさまを見たくもあったので、解任されてがっかりした、というのが正直なところである。

 しかし、私は西野氏にも大いに期待している。

 伝説となったマイアミの奇跡が、西野監督らの必死の情報収集と分析によって成し遂げられたことは有名だ。マイアミの奇跡とは、1996年、アトランタオリンピックで、日本が優勝候補だったブラジルを下した試合を言う。このとき日本チームには、日本(A)代表経験者がわずか2名で、下馬評では圧倒的な不利が予想されていたのだ。

 また、西野氏がガンバ大阪の監督時代に見せた、個々の選手の力を最大限引き出し、ボールを保持しながら、緩急自在に攻める美しいサッカーも忘れがたい。さらには2008年のクラブワールドカップで3位になったとき、テレビ局のアナウンサーが「世界3位ですね!」とはしゃいで持ち上げるのを、あくまで冷静に「クラブワールドカップ3位です」と言い直した真面目な姿勢にサッカーファンはこぞって拍手喝采したものであった。

 西野氏の大学の後輩である岡田氏が、すでに2回も日本代表監督を務めており、ましてやJリーグ時代の実績などからいっても、とっくの昔に代表監督となっていてもよかったのだ。ぜひその力を存分に発揮して大きな成果を上げてほしいと心から願っている。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山進、構成/ライター 奥田由意)