これまで2000社以上の指導を行ってきた経営アドバイザー・田口佳史氏の新刊書『超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ』の中から、ビジネスの役に立つ論語を「超訳」でわかりやすく解説する。今回の論語は、評価されないことで悩んだり、若手社員にぼやいてもしかたがない、という孔子からのエールだ。

「若者」にいちゃもんつけている暇はない

後生(こうせい)畏(おそ)る可(べ)し。焉(いずく)んぞ来者(らいしゃ)の今に如かざるを知らんや。四十五十にして聞ゆること無くんば、斯(こ)れ亦畏(またおそ)るるに足らざるのみ。

若い者を見くびってはいけない。いまの自分より後輩のほうが優れていることだってある。ただし四十、五十になってもまだ評判が立たないような人は、もうおそれるに足りない。(子罕第九/228)

 古代エジプト時代から、年長者はよく「近ごろの若い者ときたら……」とぼやいていたと伝えられる。自分のほうが年齢が上というだけで、若い人をみくびる傾向があるのだ。社会人の先輩の目には、頼りなく映るのだろう。もしかしたら、若手に追い抜かれたくないという気持ちが潜んでいるのかもしれない。

 しかし孔子は、「年齢は問題ではない」と明言する。若者のなかには、未熟ではあるけれど、年長者にない能力や発想を持った人がいる。そこを認めてやるのが、年長者の余裕というものだろう。

 続く言葉はもっと厳しい。「三十代までにある程度がんばって、成長を形にしておかないと、四十、五十以降になってからがみじめだよ」といっているように聞こえる。

 ここは、「近ごろの若い者は大したもんだ」の視点を持って、若手に対しても学ぶべきところは学ぶべきだ。とくに四十前の働き盛りの人は、若手にいちゃもんをつけている暇はないのである。