政府は、この問題についてようやく動き出した。近年、経済的な支援を行うような政策が各地で広がっている。また、北京をはじめ上海などの経済が発展している地域では、介護施設への入居希望があれば、その費用の全額を政府が負担する動きが始まっている。

 一人っ子の親の介護に対する支援制度も徐々に広がっている。

 昨年半ばから、福建省や重慶市などでは「一人っ子の親介護有給休暇制度」を始めた。医師の証明で親の介護が必要となる場合、企業が10〜20日の有給休暇を与えなければならない制度だ。今年に入ってから全国約10の自治体がこの制度を実施し、全国へ広がりつつある。この制度は国民に歓迎されていて、専門家は「国の法律として立法すべき」と意見表明している。

「一人っ子」政策は終わっても
子どもがなかなか増えない理由

 少子高齢化が進み、労働人口が毎年800万人のペースで減少していく中で、3年前に中国政府は「一人っ子」政策に終止符を打った。

 しかしその後、政府の思惑とは裏腹に、予想よりも新生児の人数ははるかに少ない。全国平均でも第二子の子育て適齢期の世帯全体数から、第二子を設ける世帯はわずか2割にとどまっている(筆者の過去記事「中国で一人っ子解禁後も出産しない女性が増えている理由」参照)。

 一番大きな理由は、子どもを育てるコストがかかり過ぎるということである。「十分なお金がない限り、子どもを産まない」という家庭が増えているのだ。もっぱら、子どもが2人も3人もいるのは、事業が成功している富裕層や芸能人ばかり。このため、一般の人が2人目をつくろうとすると、周りから「何よ、芸能人ぶっている」と皮肉ぽっく言われるぐらいだ。

 中国では、経済や社会が発展にするにつれて、晩婚や結婚しない、結婚しても子どもがいらない人も増えている。

 今後も少子高齢化はさらに加速していくことが予測される。社会保障制度が整備されない限り、「一人っ子」とその親の生きる道は決して楽にはならない。