関係者が言及した「お財布」こそが、三木谷氏のポケットマネーを指していた。クリムゾンフットボールクラブの株式を楽天本体が取得した2014年12月以降は、ポケットマネーの扱いに関しても状況が変わってきているはずだ。それでも、イニエスタの年俸を補填するためのさまざまなスキームが組まれると予想される。

 楽天本体や複数の関連会社が広告関連予算を組むのも、スキームのひとつになるかもしれない。イニエスタの入団会見には海外メディア14社を含む211社、総勢348人の報道陣もの報道陣が殺到。世界の舞台を含めて、計り知れないほど大きな露出効果がすでに出ている。

 イニエスタは大のワイン好きで知られ、スペインのラ・マンチャに大規模なワイナリーを所有・経営している。イニエスタのサインがしたためられたワイン『ボデガ・イニエスタ コラソン・ロコ』シリーズなどを大量に買い付けることも然りで、すでに「楽天市場」で販売されている。

 今回の移籍交渉も、楽天ヴィッセル神戸株式会社の代表取締役会長を務める三木谷氏の主導で進められたとされている。楽天本社自体も2017-18シーズンから4年間、日本円にして総額280億円に達するスポンサー契約をFCバルセロナと締結。伝統のユニフォームの胸に『Rakuten』のロゴが躍るなかで、2シーズンぶり25回目のリーグ優勝を果たしている。

 世界中の数十ヵ国に取引先を持つグローバル企業の楽天にとって、傘下に持つヴィッセルで世界的なレジェンドであるイニエスタがプレーすることは、国際的な企業ブランド力をさらに向上させていく広告的な先行投資という意味でも、お金に換算できないほどの価値を生み出していくはずだ。実際、入団会見に同席した三木谷氏は、こんな言葉も残している。

「神戸にとどまらず日本サッカー界、アジア全体に大きな影響を与えてくれると思っている。彼はサッカー選手としてだけでなく、7400万人のSNSのフォロワー数を誇り、世界的にも大変強い発信力と影響力がある。世界から注目を浴びることができるような仕掛けも、どんどん作っていきたい。

 アンドレス・イニエスタという世界で最も美しいプレーをするだけでなく、世界で最も尊敬されているプレーヤーがJリーグでプレーをするということは、単に1プレーヤーが入るということだけではなくて、イニエスタという一滴がJリーグ全体に大きな影響を与える、それが翻って日本のサッカーに大きな影響を与えるのではないかと思っています。

 Jリーグが世界の人たちが見たいというリーグになり、イニエスタ以外の現役有名選手が日本でプレーしたいということもトレンドとして起こると思いますし、若い選手が刺激されるだけでなく、子どもたちがサッカーをやってみたいという憧れ、夢が出てくることも期待して、今回我々も思い切ってやらせていただきました」