被害件数と検挙人員に占める高齢者の比率被害件数と検挙人員に占める高齢者の比率(週刊朝日 2018年6月1日号より)
拡大画像表示

 社会の高齢化に伴い、65歳以上の人が被害に遭ったり、容疑者として検挙されたりするケースも増えた。

 直近10年でみると、詐欺の被害に遭う人と窃盗の罪を犯す高齢者が特に増えた。16年に万引きで検挙された全国約7万人のうち、38.5%の約2万7千人が65歳以上。16年の国内人口の高齢化率27.3%に比べ、大幅に高い。

 振り込め詐欺などの特殊詐欺は、65歳以上の被害が全認知件数の7割超にのぼる。17年には全国で約1万8千件発生。青森・山梨・愛知・香川・宮崎の5県で被害額が5割以上減った一方で、東京・埼玉・千葉・神奈川など大都市圏を中心に16都道府県は認知件数と被害額がいずれも前年より増えた。

 和歌山県は人口の3割超が65歳以上で、全国で7番目に高齢者比率が高い。県警によると、17年に刑法犯で検挙された1937人のうち約26%の503人が65歳以上。13年は約21%だったため、約5ポイント上昇している。

 503人のうち、285人が万引きでの検挙。容疑者の取り調べや他県の調査データなどから、一人暮らしの孤独感や経済的困窮が背景にあると、県警はみている。このため、今春から県や市町村と協力し、万引きで検挙された高齢者に対し、生活支援の窓口紹介や警察官による自宅訪問などのきめ細かな対策に乗り出した。崎口忠・犯罪抑止総合対策室長は「一歩踏み込んで高齢者に寄り添うことで、安心して暮らせる地域づくりにつながる」と話す。

 犯罪の抑止には、経済的な安定や地域のつながりなど様々な要因が結びつく。関係者が力を合わせ、地域の「犯罪格差」が縮小することを願いたい。

(藤嶋亨)

週刊朝日 2018年6月1日号より ※AERA dot.より転載