2つめの理由は、トランプ政権の閣僚の顔ぶれを見ればわかる。トランプ政権誕生から1年以上が経過し、トランプ大統領の政権と議会の掌握も進んだ。否定的に報じられることが多いが、トランプは閣僚辞任に合わせ、自らが目指す政策に近い人物を登用している。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)やポンペオ国務長官など、タカ派の人物が政権中央に陣取り、一気に中国への貿易戦争を仕掛けているのである。彼らがこのまま大人しく、黙っているとは思えない。

 最後の理由が、6月12日に予定されている史上初の米朝首脳会談が中止となる可能性が、いまだ完全にゼロとはいえない状況になっていることだ。かねてからトランプ大統領は中国に北朝鮮問題への対応を迫っており、中国が解決に動けば貿易交渉などで譲歩する姿勢を示してきた。仮に北朝鮮が首脳会談の中止を発表すれば、中国としてはメンツを潰された格好になる。その場合、トランプ大統領が再び対中輸入の制限に踏み切る可能性もゼロではない。

 あらゆるカードを切りながら優位に交渉を進めるのは、トランプ大統領の常套手段である。トランプ流の「ディール(取引)」にまんまとのせられ、掌の上で転がされる中国という構図はしばらく変わらないだろう。

米中と折り合いながら、
日本はどう戦うか

 一進一退を繰り返す米中経済対立の真っただ中で、当然、日本も無関係ではいられない。本書でも述べたとおり、政治と経済は表裏一体である。アメリカあるいは中国の高官が日本に対して愁波を送ってきた際は、「何か裏があるはずだ」と勘繰るのが正しい見方といえる。

 では、今後の日本経済はどうなるか。筆者は決して楽観視しているわけではないが、米中両国との関係性の中で日本経済は上向くだろう、と見ている。なぜそういえるか。日本の2つの「勝ちパターン」を以下に示そう。

勝ちパターン(1):決め手は「B to B」
「B to G」―最終消費地で生産拡大を

 トランプ大統領の政治目標は「強いアメリカの復活」であり、その基軸は製造業を中心とした産業の再生である。トランプが大統領になれたのは、五大湖周辺のラストベルト(錆びついた地域)の労働者の支持があったからだ。

 この地域は労働組合が多く、もともと民主党の地盤だった。「製造業の復活」というトランプ大統領の強い意思表明により、彼らが共和党支持に寝返ったがゆえの勝利であった。

 アメリカは経済における大きな弱点を抱えている。それは、製造基盤の消失である。特許や開発拠点など知的財産権の分野では非常に優れているが、グローバル化に伴い、製造拠点を海外に移転したことで、モノを作る基盤技術と土壌、そして雇用が失われてしまったのだ。ある意味、その象徴がラストベルトだった。