それが一転、LCC新会社をきっかけに、解雇問題が解決に向けて動きだした。ある労組関係者は「7年間、何も進展がなかったことを踏まえると、大きな一歩」と経営陣の判断を評価。不当解雇を訴える街頭での宣伝活動を休止している。

 JALが態度を変えた背景には、航空業界の世界的な人手不足がある。20年に向けた経営計画では、世界500都市へ乗り入れる(コードシェア便を含む)路線拡大を掲げ、新型機材も複数導入予定。人材の安定確保は喫緊の課題だ。毎年、数百人規模の新卒採用を続けてきたが、新人の育成には時間がかかる。そこで即戦力となる“出戻り人材”に門戸を開いたわけだ。

 LCC新会社を設立するこのタイミングで、長年の労働争議の解決と、人材確保を図る今回の労務方針転換は、まさに“一石二鳥”の作戦といえる。

LCCなのに高コストになる?
現役への影響も

 一見すると多方面にメリットがあるこの策。しかし「円満解決」するには、幾つかの懸念を払拭していく必要がある。

 まずは、このまま労組が経営側の提案をすんなり受け入れるかどうかだ。「会社側が一向に詳細を出さないので、受け入れようがない」とある労組関係者が言うように、具体的な交渉はまだ進んでいない。新LCCに関しては7月に準備会社が立ち上がり「その経営陣が人事も決めていくようだ」(同)といううわさもある。

 とりわけ注目されるのが、本人の意思とは無関係に解雇された被整理解雇者が、どのような労働条件や待遇になるかだ。仮にJAL本体に引けを取らない給与水準でLCC新会社に迎えられれば、今度は新LCCが「ローコストキャリア」を実現できなくなるジレンマに陥る。

 一方、労務方針の転換は、一般社員にも影響を与えそうだ。