プロジェクト2年目、ブランディングをさらに加速させるため、藤高は佐藤に総合プロデューサー就任を依頼する。引き受ける条件として佐藤が提示したのは、東京で売り場を確保することだった。まだ知名度が高くない今治タオルを売り込むため、藤高は奔走する。粘り強い交渉の末、伊勢丹新宿本店のタオル売り場に常設の今治タオルのコーナーを確保した。それがニュースなどで取り上げられ、知名度は一気に高まった。

絵画を再現する技術力と
一貫生産体制で差別化

「(今治タオルのブランディングという)第1フェーズが終わり、第2フェーズに入っている」。これからは各社が自力で戦っていく段階だと位置付けている藤高は、どんな戦略を描いているのか。

 藤高の強みは、卓越した技術力にある。同社が特許を持つ「五彩織り」によって絵画のような微妙な色合いを実現したタオルは、第4回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞した。「どうやって作っているかは見れば分かるだろうが、よそでは製品化できないだろう」。組合が認定する「タオルマイスター」の称号を持つ同社顧問の豊田一也は、胸を張る。

 もう一つの強みが、分業が多いタオル業界では珍しい一貫生産体制だ。糸の染色から製織、縫製、仕上げまで一貫して行えるため、多品種・少ロット・短納期の生産が可能となる。

 これらを武器に藤高が目指すのは、新たなOEMビジネスだ。従来のように問屋に依存せず、直接依頼主と対等の関係を築き、技術力と柔軟な生産体制で要望に応えていけば、ロットは少なくても適切な利益を確保できると考えている。冒頭の銀座直営店は、OEMの受注拠点としての機能も果たす。

「藤高タオル」のブランディングが、いよいよ始まる。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)

今治タオルは産地消滅寸前の危機からどうやって復活したか

【開発メモ】ハウスタオル
 藤高がインドの紡績会社と協力して開発した、柔らかくてしかも毛羽が出にくい独自の綿糸を使用。糸が痩せにくいため、ボリューム感が持続するのが特徴。また、自社染工所という強みを生かして、使用する水質や後加工にこだわり、風合いと美しい色合いを追求した。シーズンカラーを含む全15色展開で、究極のベーシックタオルを目指している。