このため日本消費者連盟(日消連、東京都新宿区)など7つの市民団体が昨年8月から関係の省庁と業界に対し、

▽香害を引き起こす製品の製造・販売をやめる
▽香りつき製品の公共施設での使用自粛を啓発する
▽保育園・幼稚園、学校での使用自粛を促し、被害を受けた子どもに学習する場を確保する

 などを要望してきた。

 7団体は5月22日、衆院第一議員会館で集会を開き、消費者庁・厚生労働省・文部科学省・経済産業省の担当者を招いて要望に対する回答を聞いた。

 4省庁は「香害やMCSは原因物質が何であるか特定されていない」ことを主な理由に、要望に対し「できない」「難しい」を連発した。

 だが、その中でただ1つ検討中としたのが日本石鹸洗剤工業会による柔軟剤の「品質表示自主基準」の改定だ。

 基準にある「使用上の注意」に「目安量通り使用すること」や「周囲の人への影響に配慮して使用すること」を追加し、それに基づいて加盟各社が商品の容器包装などに表示することが検討されている。

 柔軟剤については、メーカーが示す目安量の2倍もの量を使っている人が2割もいたとの調査結果があり、工業会と各社はすでにウェブサイトやCMで目安量通りの使用や周囲の人への配慮を呼びかけている。

 だがはっきりした効果は出ていない。そこで表示でも示そうというわけだ。

 これに対し、柔軟剤に苦しんでいる被害者には、対策は効果が乏しく、むしろ弊害が大きいと見る人が多い。なぜだろうか。

柔軟剤にはさまざまな成分
香料と表示するだけでは無意味

 被害者の体験と柔軟剤の成分という2つの面から考えてみよう。

 埼玉県に住むK・Aさん(73歳)は5月22日の集会でこう訴えた――。

 56歳だった18年前、新築した自宅で使われた防蟻剤でMCSになり、その後、6年かけて自宅から「揮発性有機化合物(VOC)」の発生源を除去し、できるだけVOCを取り込まないように暮らしてきた。

 VOCは「常温で揮発して空気を汚す、炭素を含んだ化合物」の総称で、吸い込むとMCSやSHSを発症・悪化させる。