相手からの答えは、そのままプレゼンのアジェンダにすることができます。何しろ相手が聞きたいと思っていることに応えるわけですから、失敗のリスクはどんどん下がるわけです。

 もちろん、相手の話を聞く場合でも、自分にある程度のコンテンツをストックしておくことが重要です。さすがにスライドなどがない状態で話すのに、自分に情報のストックが全くないのは問題外です。厳しい言い方かもしれませんが、あくまでもプレゼンをする場ですから、情報をストックするのは仕方のないことです。その場のアドリブですべてをこなすことができるのは、人生経験が常人の何倍もある人くらいです。

「えー、じゃあ私は無理だ……」と思うのでは、ちょっと諦めが早いでしょう。

 自分の経験が十分でなかったり、知識が足りたりしていなければ、事前に自分が勉強する以外に、「その分野に詳しい人とつながっておく」という手段があります。もしくは、「詳しい人がいることを知っておく」でもいいかもしれません。そうすれば、どんな厳しい質問が来ても「それは後ほど専門家からお答えをお送りします」と言えるようになるからです。

 質問にすべて答える必要はない、というのが私の持論です。なぜなら、ビジネスの現場は学力テストではないからです。知っていることが大事なのではなく、何かしらプラスとなる情報を交換できるかどうかが最重要事項です。それは、誰かと関係をつなぐという行為でも十分だと思います。

 聴衆が大人数の場合には、一人ひとりに問いかけるのは物理的に難しい場合もあります。その時は、挙手を促す質問をするとよいでしょう。

「今朝、電車に乗ってこの会場までいらした人?」
「ランチくらいはゆっくり食べたいと思う人?」
「週休3日だと『もっとやりたいことができるのに』と思う人?」

 というように、ある程度反応が読めて、意見が割れても大惨事にならないような質問を投げかけると、聴衆の興味を自分の方に引き寄せることができます。

 聴衆に問いかけることができるようになると、気持ちに余裕が出てきます。余裕が出てくると、プレゼンテーションの本質でもある「プレゼント」を差し出す気持ちも自然と生まれてくるものです。ぜひ、目の前にいる聴衆の人たちと交流する気持ちを持ってプレゼンに臨んでください。