地域単位での取り組みが必要
みんなで関わっていく問題

「性的な接触を断る=愛情がないというわけではないことを知ることも大切です」

 例えば、すでに性的な関係を持っている恋人同士のような場合。今日は調子が悪いとか、そういう気分ではないということもある。性的行為の拒否は、相手への全否定ではない。断られた方は必要以上に傷つく必要はないし、断る方も相手に気を遣うあまり自分の意に反して受け入れる必要はない。

 こういったことは、多くの大人にとっては「当然じゃないか」と思う内容かもしれない。一方で、子どもにとっては、大人が曖昧にしている問題と映っているかもしれない。

「講演を聞いた男子高校生が、『彼女の無言を同意と捉えて、強引なことをしてしまったかもしれない』と気づいたケースがありました。そこで気づけてよかったけれど、もう少し早く教育を受けていたら、強引なこともしなかったかもしれない。相手の意思を尊重することの大切さを、具体的に早い段階で伝えることが大事だと思います」

「また、保護者の方に伝えたいのは、自分の子どもが性教育を受けたらそれでいいというわけではなくて、地域単位での取り組みが必要だということです。一人だけ理解していても、被害や加害を防げるわけではないので、みんなで関わっていく問題だと捉えてほしいと思います」

 子どもが幼い頃に、「人の嫌がることをしない」と教える親は多いだろう。しかし性の話になると、「少しくらい嫌がっていても大丈夫」という偏った知識が追加されることがある。恋愛やセックスのマニュアル本や情報商材は女性向けも男性向けも数多いが、「どうやったらうまくいくか」に重点が置かれ、「相手を傷つけないために」といった内容は薄い。また、コミュニケーションはマニュアルがすべてではないと、まず教えることが必要なのかもしれないとも感じる。