
2023年1月に、ニデックとその創業者である永守重信氏が、ダイヤモンド社らを相手取り提起した名誉毀損訴訟。双方の主張は真っ向から対立するものだったが、このたび本件訴訟の判決が確定した。2年5カ月に及ぶ訴訟の「判決内容と争点」についてまとめた。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
2年5カ月に及ぶ訴訟の「判決と争点」
ニデックが請求した4項目のうち3項目が棄却
2023年1 月24日、ニデック(旧日本電産)と創業者である永守重信・代表取締役グローバルグループ代表は、ダイヤモンド編集部の「役員人事に関する報道」により名誉を傷つけられたとして、ダイヤモンド社らを相手取り訴訟を提起した。
それから2年5カ月を経た本年6月11日、東京地方裁判所で判決が言い渡された。その後、ニデックとダイヤモンド社の双方が控訴を行わなかったため、第一審判決が確定した。
本件訴訟の判決内容と争点について、下記のとおり。
ニデックらが損害賠償等として請求した総額6600万円(及び利息)のうち、一部認容されたのは55万円(及び利息)。原告が請求した4項目のうち3項目が棄却された。
1、【請求】原告ニデックに対し、被告ダイヤモンド社らは損害金3300万円及び年3%の利息を支払え。
→【判決】棄却
2、【請求】原告永守重信氏に対し、被告ダイヤモンド社らは損害金3300万円及び年3%の利息を支払え。
→【判決】55万円(慰謝料50万円と弁護士費用5万円)及び年3%の利息を支払え。
3、【請求】被告ダイヤモンド社はダイヤモンド・オンライン記事2本を削除せよ。
→【判決】棄却
*対象記事は、記事①:特集『京都企業の血脈』の#7『日本電産「エリート幹部大量流出」危機、日産・三菱商事・シャープ出身者に加え生え抜きも』、記事②:特集『日本電産 永守帝国の自壊』の#3『日本電産永守会長が「役員クビ」乱発!恐怖の昇格降格ジェットコースター人事で生え抜き疲弊』の2本。
4、【請求】判決確定の日から1週間以内に、被告ダイヤモンド社は名誉回復措置として週刊ダイヤモンドの最初の広告ページに謝罪広告を掲載せよ。
→【判決】棄却
また、訴訟費用の負担は以下のように振り分けられ、大半が原告ニデック側の負担となった。
・永守重信氏に生じたその余の費用とダイヤモンド社らに生じた費用の400分の397→永守重信氏の負担
・ニデックに生じた費用とダイヤモンド社らに生じたその余の費用→ニデックの負担
次に、本件訴訟における争点について取り上げる。