「三ノ宮」を「三宮」に統一できないのは
改称にかかる莫大な費用が原因

 また2016年3月にJR南武支線川崎新町~浜川崎駅間に開業した小田栄駅の駅名決定の際には、川崎市が「小田栄」「小田川崎」「小田弥栄」の3案で駅名投票を行い、最多得票を集めた案を採用した。

 これらの新駅はいずれも地元自治体が要望し、駅設置費用の一部を負担することで設置された「請願駅(せいがんえき)」だ。自治体としては税金を支出する以上、地域のイメージを高めるとともに、沿線住民の支持を得る必要があることから、公募や投票による市民参加のプロセスを踏んでいるのである。

 駅名への期待は新駅だけに寄せられるものではない。既存の駅名を改称しようという動きは以前から各地で見られた。

 近年では、2017年4月に東武スカイツリーラインの「松原団地駅」が「獨協大学前駅」に改称された。旧駅名の由来となった草加松原団地は、1962年から入居が開始された当時東洋最大といわれた大規模団地であったが、老朽化が進んだため、2003年から都市再生機構によって順次建て替えが進められている。既に日本住宅公団は改組され「松原団地」という名称も用いられなくなっていたことから、草加市と商工会議所を中心とした松原団地駅名変更協議会が連名で「獨協大学前駅」への改称を申し入れたことから実現した。

 獨協大学は松原団地建設から2年後の1964年に開学した長い歴史を持っており、東武鉄道としても団地の街から大学の街へ、イメージ刷新を期待しているようだ。

 関西でも似た動きがある。共に阪急阪神グループである阪急電鉄は2013年12月、阪神電鉄は14年4月に、「三宮駅」を「神戸三宮」駅へと改称した。県外から訪れる観光客にとって、三宮だけでは神戸の中心地であるということが分かりにくいという声があるとして、地元からの働きかけがあったという。

 一方、隣を走るJR神戸線「三ノ宮駅」の改称運動は思うように進んでいないようだ。こちらは鉄道開通時の慣習から「ノ」が入っているが、本来は「三宮」が正しい地名表記であるため、神戸市としては「神戸三宮」に統一したい。しかし、そのためには発券システムや案内板などの改修費用として数億円を要することから、実現には至っていない。

 駅名変更には、意外に大金が必要なのだ。駅名を改称したいという要望は各地で寄せられているようだが、改称費用は原因者負担、つまり要望した自治体が支払わなければならないのが、実現の大きなハードルとなっている。