ハリルホジッチ監督は歯に衣着せぬ直言を介して、特にJクラブ所属の選手たちへ厳しい要求を突きつけることが少なくなかった。聞く耳を持たない印象すら与える指揮官と、長谷部は良好な関係を構築しながら間に立ち、チーム内の風通しを良くするための作業に腐心してきた。

「監督は物事を本当にストレートにしゃべるので、選手それぞれの感じ方によっては、すごく勘違いされることもあると思うんですね。だからこそ、若い選手たちに対して、例えば『考え方が違う人とつき合っていくことによって、自分自身が変われることもあるんだよ』という話はしています」

 そのハリルホジッチ監督が、電撃的に解任されたのが4月7日。慌ただしくバトンを引き継いだ西野朗監督は、初陣となる5月30日のガーナ代表とのワールドカップ壮行試合(日産スタジアム)に臨むメンバーの中に長谷部を加えた上で、こう言及した。

「本人にはまだ直接伝えてはいないですけれども、長谷部にはぜひキャプテンをやってもらいたい。そういうプレーヤーだと考えています」

 この瞬間に5人の代表監督の下で、長谷部がキャプテンを務めることが決まった。日本サッカー界でも稀有なケースであり、監督の国籍もイタリア、メキシコ、旧ユーゴスラビア、そして日本と多岐に渡る。文化や風習を超えて重用され、信頼を置かれるのはなぜなのか。

「僕はどちらかと言うと、どの監督とも上手くいっちゃうのであれなんですけど……」

 日本代表における自身の軌跡を振り返った時に、長谷部自身も思わず苦笑いを浮かべたことがある。冒頭で記したように、裏表のない誠実さと際立つリーダーシップは万国共通で受け入れられるものなのだろう。そして、3大会連続となるワールドカップを前にして、こんな決意を固めてもいる。

「個人的にはこれだけ長い間、日本代表にいますから、キャプテンであろうがなかろうが、自分のやるべきことは変わらないと思っています。このチームは経験のある選手たちが多くなってきているので、そういう選手たちがひとつにまとまることで、若い選手たちも引っ張られてくると思うので。自分だけじゃなくて、経験ある選手たちがしっかりまとまって引っ張っていくことが大事だと思います」