不祥事続きの安倍内閣だが、追及する方の野党側も、イマイチ決定打を打てないまま。1月22日に召集された通常国会も、終盤へと差し掛かっている。だがそんな野党のなかで、唯一気を吐いているのが共産党の小池晃書記局長と宮本岳志衆議院議員のコンビだ。今国会でも、独自の調査で発掘した資料を元に、モリカケ問題で政権を揺るがす鋭い質問を連発している。2人が注目を集める理由について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。(取材・文/清談社)
「非現実的な理想にこだわる」悪癖は
もはや過去のものに
共産党というと、いまだに非現実的な理想にこだわる、融通の利かない政党という印象を持っている人は多い。
その印象は、一般の有権者に限らず、メディアや他党の国会議員も共有している。しかし鈴木氏によると、ここ数年の共産党には大きな変化があるという。
「変化のきっかけとなったのは、2015年の通常国会における安保法制の反対運動で、市民運動などと幅広く共闘したことです」(鈴木氏、以下同)
2015年9月19日に安保法制は成立した。だがこの日の午後、共産党の志位和夫委員長は、安保法制を廃案にするための連立政権構想を模索するとともに、安倍政権打倒のため、野党間での選挙協力を呼びかけた。
「それまでのように共産党独自で今後も選挙を戦っていくのか、それとも安保法制反対で盛り上がった市民の声を受け入れて、野党各党に幅広い共闘を呼びかけるのか。共産党では、相当な議論を重ねて、後者を方針とすることを決めたようでした」
そして、その後の選挙での動きを見ても、共産党の決断は、今に至るまで全くぶれていない。
たとえば、共産党は16年の参院選の1人区で、香川県以外の全選挙区で候補者を取り下げた。また、昨年の衆院選でも、無所属での出馬を決めた候補の選挙区で、共産党は多くの候補者を取り下げた。この間、野党共闘を進めてきたのが、16年4月から共産党の書記局長に就任した小池晃氏だ。
「小池さんは、選挙協力の調整で、一貫して柔軟かつ現実的な対応をしてきました。その対応は、他の野党の議員が『自分たちの方が融通が利かない』とボヤくほど、腹の据わったものでした」