名作「ターミネーター」が
誕生した背景にもこの手法があった!
この「相手から頼まれるかたちに持っていく」という方法は、世界的に使われている普遍的な手法です。今から30年ほど前、映画監督のジェームズ・キャメロン氏は、この方法を駆使して大出世しました。
当時、キャメロン監督は、「ターミネーター」という映画の企画について、詳しく聞きたいという映画会社からの連絡を受けました。そこで、監督はターミネーターの衣装と特殊メイクをした俳優を映画会社に向かわせたのです。そして、その俳優は、映画会社のドアを蹴り開けて侵入し、社員を無言で睨みつけて怖がらせました。
その結果、映画会社の担当者は、すぐにターミネーターの面白さを十分に理解したのです。そして、映画会社のほうから「制作に関わりたい」と頼む関係になったのです。
この様に、何か実現したいことがある時は、手段は問わず、自分と同じレベルまで相手の温度を高める事が重要です。もちろん、何を口で言うかを工夫することも大切ですが、キャメロン監督のように、相手がこちらに頼むかたちにするトークしか出来なくなる環境を作る事も非常に効果的です。
このテクニックの効果が、いかに強力かというのが分かる例が振り込み詐欺です。詐欺師は、子どもと離れて暮らす高齢者に対して実の子や孫のフリをして、「事故の示談金が必要だ」とか、あえて心配をかけるようなことを言います。そして、「このお金で何とかしなさい」と高齢者から逆に依頼されるようなかたちで、大金をダマし取ってしまいます。