日本人のコミュケーション下手は、どこに原因があるのでしょうか。それは正解がないはずの考え方に対し、上下関係を築こうとしている点になるのです。今回は『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術』の中から、少し注意するだけで対人関係がうまくいくコミュニケーションのノウハウについて紹介します。

基本は相手の言い分に「納得してあげる」こと

 日本人は、諸外国の人と比べると、約束事に非常にシビアな傾向があると思いませんか。例えば、私がNHKの海外向けの英語ニュース番組を担当していた時にも、外国人と日本人スタッフの間で、しばしば時間に関するトラブルが起きていました。

 日本人スタッフにとって、「明日は、◯時に集合しましょう」という事になったら、それは法律ぐらい重要なルールです。しかし、外国人スタッフは必ずしも、そうは思いません。そのため、日本人スタッフの中には、「外国人は勤務態度がなってない」と激怒している人がいました。

 ここまで読んで、外国人は日本人に比べてダメな人が多いと感じた人もいるでしょう。しかし、そういう考え方をする人は、コミュニケーションにおいてトラブルを起こしやすい可能性が高いと言えるのです。

 その理由は、人の考え方には、決して「正解」はないからです。

 先程、例にあげた、頻繁に遅れてくる外国人スタッフには、日本的な集合時間を守るという感覚は存在しないわけです。ですから、その外国人が日本人に遅刻を注意されても、「自分が10分前に来たからって、それで仕事の成果の何が変わるんだ?」と、心の底から困惑するだけなのです。

 こういう場合に、トラブル無くコミュニケーションを取るには、「相手の言い訳に納得してあげる」という感覚が必要です。引き続き、例にあげた日本人と外国人のコミュニケーションについて考えます。日本人が外国人に遅刻を注意したいなら、「確かに、仕事の効率という意味では、無意味なことかもしれない」と、最初に外国人の言い分に納得してあげましょう。

 その上で、「でも、日本では会社に忠誠を示すという意味で、遅刻をしないという事を大切にしているんだ」と説明しましょう。こう説明しても、外国人は、アメリカ人のお笑い芸人、厚切りジェイソンのように「Why Japanese People?」と言い出すかもしれません。

 そうだとしても、頭から、相手の思考が間違っていると頭ごなしに否定するよりは、円滑なコミュニケーションが取れるはずです。