高齢者住宅の情報インフラに脈あり

朝倉:その状態から「高齢社会の情報インフラ」という事業分野に舵を切られたのはどういった経緯だったのでしょうか?

大企業でも倒産するから、就職ではなく「起業」を選んだ 【諸藤周平さんに聞くVol.1】

諸藤:当時、アールの介護という会社に相談したところ、高齢者住宅の専属販売代理をすることになったんです。結局これも、始めて半年くらい経ったところで「販売代理をするために独立をしたわけじゃないな」と思い立ってやめたのですが、いくつか学びがありました。
まず、この業界は未成熟で、色々なものが整理される前なので、待っていれば、マーケットが成熟する過程でビジネスが成立するチャンスがあるんじゃないか、ということ。
加えて、専属で販売代理をしていたことで入金があったので、PL(損益計算書)のイメージを持つことができ、究極的に言えば、バイトしていれば食っていけるから、それで食いつないで待っておけば、将来的に何かしらの情報インフラは必要とされてくるだろう、ということ。
その前までは、「住宅流通で一発当てたら、やめればいいんじゃないか」という、プロジェクト的な発想をしていたんです。でも実は、シニアビジネスの業界全体が見えてくると、高齢社会の情報インフラという分野には、色々な事業機会がありそうだと考えるようになりました。確たる根拠はありませんでしたが、もう一回会社をリセットして、ゼロベースで顕在化しそうな事業にトライしようということになりました。
はじめはワンルームに田口、山本、釜野の4人(エス・エム・エスの創業メンバー)で住んでいて、サークルみたいな雰囲気でした。チャンスがくるまで食いつなぐために、カレー屋を始めようとしたものの、ややこしい人たちに狙われるかもしれないと、仕込みだけしてやめたこともありました。

*次回に続きます。
*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2017年12月15日に掲載された内容です。