小室 店長からまず率先したんですね。「6時間の予定だったけど、7時間いたらもうちょっと売り上げが上がるんじゃないか」ではなくて、「6時間で売り上げを上げるにはどうしたらいいか」という意識で取り組むから、6時間の仕事が濃くなる。こうした「パラダイムシフト」が起きた事例は他にもありますか。

 それまで「掃除は早朝の店舗が開く前と、閉めた後に行う」というのが慣例でした。就業規則に書いてあるわけでもないけれど、みんなが当たり前にそういうものだと思っていた。

 でも洋服というのは、その日の天気で売れ行きが全く変わりますから、その日の天気を踏まえて、店舗を開ける前の朝の時間帯は、掃除をするよりも店長とスタッフみんなで今日の戦略を話し合いたいよね、ということに気づいたんです。今までスタッフは掃除をしていて、店長は1人で1日の戦略を考えていました。それを、みなで朝食をとりながら一緒に戦略を考えたところ、スタッフの主体性が強まり、店長の戦略の立て方をスタッフが学ぶこともできるようになりました。

店長が考える「適正な指示」が
スタッフには「やりづらかった」

小室 「みんな仲がいいし、飲みに行っている。コミュニケーションも取れているから大丈夫」と上が思っていても、実は「アウトプットに結び付く有効なコミュニケーション」が取れていないケースは多いですね。

 こうやって全スタッフが主体的にコミュニケーションが取れる状態を作ってみたら、スタッフから「実は店長からいつも急にいろいろな指示が来るので、集中しにくいと感じていた」といった意見が出てきました。

 スタッフは「急にいろいろな指示が来る」と感じていましたが、店長からすると朝のうちに頭の中で組み立てていて「あなたは今、バックストックの整理に入って」「店頭に人が足りないから接客に出て」というように、適宜スタッフに声をかけて、適正なフォーメーションにしているつもりだったんです。でも、スタッフは接客にも整理にも集中できないので、ストレスだったんですね。

 そこで朝ミーティングでホワイトボードに1日の全員の動きを書き出すことで、集中して接客できるようになり、仕事の質も上がりました。さらに店長の頭の中にしかなかった1日の仕事の組み立て方を、全スタッフが学べるようになり、店舗全体のレベルアップにも繋がったんです。